デザインデータをRGBで作成し、いざ印刷してみると「なんだか色がくすんでいる」「画面で見た鮮やかさが出ない」と感じたことはありませんか?
この現象は、RGBとCMYKの色の再現方式の違いによって起こる、ごく自然なものです。
この記事では、RGBとCMYKの違いをわかりやすく解説し、RGBで制作したデータをCMYKに変換して、できるだけ同じ色味を再現する方法をご紹介します!
RGBとCMYKの違いとは?
RGBとCMYKは、どちらも色を表現するための仕組みですが、実はそれぞれ表現できる領域が異なっており、RGBで制作したデザインを印刷してみると色がくすんで見えるというような事態が起こります。
カラー形式 | RGB | CMYK |
---|---|---|
原色 | 光の三原色 Red,Green,Blue | 色の三原色+黒(印刷の4原色) Cyan, Magenta, Yellow, Black |
色の重なり | ![]() 重なると明るくなる | ![]() 重なると暗くなる |
用途 | ディスプレイ上の色表現 (モニター、スマホ、テレビなど) | 印刷物の色表現 (ポスター、チラシ、看板、名刺など) |
表現できる色の数 | 約1,677万色 | 約14,060万色 |
特徴 | ディスプレイ上での鮮やかな色や蛍光色を表現できるが、印刷では再現できずにくすんでしまう | 印刷に最適化された安定した色を表現できるが、蛍光色などの非常に明るい色は再現できない |
RGB(Red, Green, Blue)は光の三原色

RGBは、赤・緑・青の光の三原色で色を表現する仕組みで、ディスプレイ(モニター、スマホ、テレビなど)で色を表示するためのカラー形式です。
光を使って色を表現するため、色を重ねるほどに明るくなり、最終的には白に近づきます。
明るく鮮やかな色を再現することができ、蛍光色に近い色の表現も可能ですが、あくまでディスプレイ上のカラー形式であるため、実際に印刷をすると鮮やかさが失われ、くすんで見えることがあります。
CMYK(Cyan, Magenta, Yellow, Black)は色の三原色+黒

CMYKは、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの印刷の4原色とも呼ばれる色で、いわゆる「フルカラー印刷」はこれに当たります。紙などにインクを使って色を再現するためのカラー形式です。
インクを重ねるごとに光を吸収していくため、色を重ねるほどに暗くなり、最終的には黒に近づきます。
RGBのように鮮やかな蛍光色を再現することはできませんが、実際に印刷物として再現できるカラー形式で、印刷に最適化された安定した色味を再現することができます。
CMYKの「K」はなぜ黒を意味する?
黒ならBlackの「B」じゃないの?と思いがちですが、BではBlueのBと被ってしまうので、「Key plate」のKが使われています。キープレートとは、黒インクでデザインの輪郭などを表現する印刷板のことです。
シアン、マゼンタ、イエローを混ぜても黒ができるのでは?と思いますが、理論上は黒になっても、実際には濃いグレーや茶色に近い不完全な黒になってしまうため、完全な黒を表現するために黒いインクを追加しています。
また、黒いインクを使うことにより、他の色のインクの使用量が増えてしまうことを抑える効果もあります。
- シアン、マゼンタ、イエローを混ぜ合わせた黒よりも綺麗な黒を表現するため
- インクの節約のため
- 重ね刷りによる色ずれや印刷制度の低下リスクを抑えるため
RGBからCMYKに変換して色を近づけるには?
RGBで鮮やかな色味のデザインを制作した場合、いざチラシやパンフレットに印刷をしたときに色がくすんでしまい、思っていた仕上がりと違う!となってしまうことがあります。
RGBはあくまでディスプレイ上のカラー形式なので、ディスプレイ上での見た目と実際の印刷物の色味を一致させるには、CMYKで表現できるカラー形式でデザインを制作する必要があります。
方法①:最初からCMYKモードで制作する(推奨)
Adobe IllustratorやPhotoshopなどのデザインソフトでは、新規ドキュメント作成時に「CMYKカラーモード」を選択することができます。
ポスターやチラシ、看板などの印刷物を製作することを前提とするなら、最初からCMYKでデザインを制作することで、もっとも安全にイメージ通りの印刷物を製作することができます。
方法②:変換前提でRGBの使用を最適化する
どうしてもRGBでデザイン制作をする場合には、鮮やかすぎる色を避けてデザインをしましょう。ビビッドな色やネオン色を使用せず、落ち着いた色味のみを使用する場合には印刷物もイメージ通りにできる可能性があります。
その際も、実際の印刷前にデザインソフト(PhotoshopやIllustratorなど)内でCMYKプレビューをを行い、色味の確認をしてから印刷に取り掛かるようにしましょう。
方法③:RGBからCMYKに変換し、色味を調整する
RGBで制作したデザインデータをPhotoshopなどのソフトでCMYKに変換し、色が変わった部分はカラーバランスやトーンカーブで調整するという方法もあります。
RGBでデザインデータの制作を完了してしまっている場合には、一度この方法でCMYKに変換し、デザインデータの色味を調整してから印刷を行うのがよいでしょう。
印刷物のデザインはCMYKでの色再現が前提です!
RGBとCMYKでは、色の表現方法そのものが異なるため、RGBで制作した色をそのままCMYKで再現することはできません。
RGBはあくまで「ディスプレイ上の色」ということを覚えておいてください。RGBでも鮮やかな色を使わない場合は、そのまま印刷をしてもイメージに近い印刷物ができる場合もありますが、基本的には印刷物のデザインはCMYKで行うということを前提としましょう。