ABS樹脂は、身の回りの多くの製品に使われている汎用的な樹脂素材ですが、使用状況によっては変色、黄ばみ、ひび割れなどの劣化が生じます。
この記事では、ABS樹脂が劣化する原因と対策について解説しています!
ABS樹脂の構造と特性
ABSとは、「アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン」の頭文字をとったもので、3つの異なる成分を組み合わせた合成樹脂(プラスチック)です。
- A(アクリロニトリル):耐薬品性と硬さを向上させる
- B(ブタジエン):耐衝撃性を向上させる
- S(スチレン):加工のしやすさと光沢を付与
家電製品の外装や、車の内装部品、おもちゃやパイプ、住宅設備など幅広い用途で使われており、ライトビコーでも立体文字看板の素材として使用している、とても汎用性が高く人気の素材です。
ABS樹脂の欠点
一般的なプラスチックに比べて、衝撃や熱に強く、加工がしやすい高性能なプラスチックですが、置かれている環境次第では劣化してしまうこともあります。
劣化原因 | 環境 | 劣化症状 |
---|---|---|
紫外線 | 屋外など直射日光の当たる場所 | 黄ばみ、白化、ひび割れ |
熱 | 高温の機械周辺や太陽光の当たる場所 | 焼け、黄変、脆化 |
酸化 | 長期間の放置 | 光沢がなくなる、内部にひび割れ |
加水分解 | 高湿な場所、スチーム洗浄 | 表面が膨らむ、変形 |
化学薬品 | 溶剤、洗剤の付着 | 溶解、剥離、白濁 |
この中でも特に、ABSは紫外線に弱い素材ですので、直射日光のあたる屋外や窓際に設置する場合には塗装やシートでUVカットを行ったり、耐候性改良グレードのABSを使用するようにしましょう。
ライトビコーでは、耐候性改良グレードのABSに、豊富なバリエーションの塗装もご用意しております!
▶ABS樹脂とは?プラスチックやポリカーボネートとの違いを徹底解説!
ABS樹脂の劣化を防ぐためにできる対策
・直射日光の当たらない場所に設置する
・紫外線をカットする処理を行う(塗装、シート貼り等)
・ヒーターなど高温になる機械のそばには設置しない
・密閉された高湿度環境への設置はしない
ABS樹脂の1番の敵は紫外線です。まずは、直射日光にあたらないよう、屋内や半屋外であれば全く問題ありませんが、日中日の当たる場所に設置する場合には、UVカットの塗装やシート貼りをするようにしましょう。もしくは、使用する素材そのものを検討し直してみてもよいでしょう。
▶ABS樹脂以外のその他の素材はこちら「立体文字看板の種類と素材ごとのメリット・デメリットまとめ」
また、ヒーターやエンジンなど熱を発する機械のそばには設置しないようにし、室内の湿度が高くなる場合には密閉せず湿度が上がらないように換気や除湿を行うことが重要です。
ABS樹脂の特性を理解して長く美しく保とう

ABS樹脂は、おしゃれで高級感があるのに金属よりも安価で、加工性に優れたとても優秀な素材です。
塗装との相性も良く、カラーバリエーションも豊富なうえに本物の金属のように仕上げることができるなど、看板に使う素材としても大人気の素材です。素材の特性をしっかりと理解し適切な使用をすると、長期間美しい見た目を保てます!
ライトビコーでは、お客様の使用用途やイメージに合った看板を、素材やデザインからご提案させていただきます!看板に関するどんなことでもお気軽にご相談ください!